「その2週間の間、雄は必死に鳴いて雌にアピールするんだ。このミンミン言ってるのは全部雄なんだよ」
「......ただ五月蝿いなあ、と思っていた蝉の声にはそんな意味があったんだ……
」
「でしょ？そう思うでしょ？そして、必死に鳴いて、アピールして、子孫を作って、2週間後には死ぬんだ。
俺、この話を聞いた時、スゲェ恥ずかしくなった。
ちょっとそん時さ、サッカーでスランプに陥っちゃっててさ。「やるだけ無駄」とか「どうせやっても意味ないんだから、やっても上手くできなくて傷つく」とか思っちゃってて。......でも、この蝉の話聞いて、「蝉だって限られた地上での2週間の命を必死に燃やしているのに、俺は「いつかスランプから抜けだせるだろう」「スランプから抜け出すまでは何やっても無駄」って......。自分はなにもしてないくせに......。スゲェ馬鹿な考えしてたって思う。恥ずかしくなった。蝉様さまだよ」
