スニーカー

「じゃあ、これに決まりですね」


結局、私が選んだスニーカーは赤色。店員さんにも「よく似合います」と言って貰えたスニーカーだ。

店員さんと私の2人は少しずつレジに近づく。あのレジまでの時間はお別れの時間までのカウントダウン。



あーあ。単なる一目ぼれなら良かったのに。
単なる一目ぼれならすぐに忘れられたかもしれない。けれど、私にはこの赤色のスニーカーがある。

きっとスニーカーを見るたびに店員さんと過ごした時間を、そして店員さん自身を思い出してしまうだろう。忘れる、なんで絶対できやしない。

今までなら、スニーカーを見るたびに思い出すのはおばあちゃんの言葉だけだった。

なのに、今なら店員さんのことばかり思い出してしまう。

かと言って私は単なるお客様。報われる訳がないんだ。

少しでも、また店員さんと話がしたいのに。