「あ…………」


 俺の体から、何かが抜けた。

『ゆ……う……?』

「……ぁっ、はぁ……」

 俺は呼吸を少し整え、言った。

「……賭けに……勝ったぜ」

『優っ……!!!!』

 駿が俺を抱き締めた。

「ぷはっ――苦しいわ!!」


『……優』

「チイラ……」

『偉いよ、頑張った』

 チイラの、最大限の褒め言葉だろう。


「あり……がとう……」


 悪い心を追い出したはいいが――
 結構ダメージあったみたいだな……。

 瞼が重くなる。


「ちょっと、休むわ……」


 そう言って、俺は瞼を閉ざした。