「塩は盛ってあるんだな」

 俺は部屋を見渡して言った。

「じゃあ後は呪文言うだけか、駿さっき言い掛けてたもんな」

 俺は淡々と言う。
 嫌でも頭の中に入ってくる不安を拭うかのように。

『優……』

 駿はまだ納得していないようだ。

 そりゃそうだよな。
 この賭けは、負ける確率の方が多いから。

 チイラも、俺を不安気な瞳で見ている。

 俺ももし死んだら、チイラみたいに駿と暮らしたり出来ないかな。

 ――いや、俺は死なない。

 もう一度自分に言い聞かせるように言った。

「大丈夫だよ」

 俺は二人に言った。

「こうなったのは俺の責任だし、俺がどうにかする」

『優の所為しゃないよ、僕が誘ったから――』

「ああもうそんな事言うなよっ」

「俺が悪い心に支配されそうになったらさ――」

 俺は微笑んだ。

「お前と、チイラが助けてくれんだろ?」

 駿、
 チイラ、
 そして俺、
 三人の間には

『……とーぜんっ☆』

『……勿論』

 信頼という名の絆。
 切れない絆。

 俺はこっくりさんが居ると思われる窓側に向いた。
 そして、言った。

「こっくりさん、こっくりさん。貴方の心、この北森優が貰います。」