『と言うわけで、悪い心貰うね〜!』

 そう言って駿は、部屋の四隅に塩を盛った。
 悪い心を取り込む為の儀式の準備だ。

【や】
  【め】
    【ろ】
       【や】
         【め】
           【ろ】

『やめないよ……』

 駿は何故か悲しそうに言った。

『優……知依……、今助けるから』



『こっくりさん、こっくりさん。貴方の心、この宮下駿が貰――』


 バァン!!!!


『――――え?』

 突如、部屋のドアが開いた。

 そして入ってきたのは

『優………、知依』

「駿っ! てめぇ……」

 俺は怒っていた。
 俺に何にも言わないで、こんな事しようとした駿に。

『僕、やるから』

「何言ってんだよ!!」

『優と知依を守れるなら、僕はどうなっても大丈夫……』

 駿は真っ直ぐ俺を見た。

「は!? かっこつけてんじゃねぇよ!!」

 俺は怒鳴った。

「本当にそう思ってんのか!? じゃあ何でこの本渡したんだよ!?」

 俺は知依から渡された分厚い本を掲げた。

『……そ……れは……』

 駿は俯いてしまった。

「この本に、真実が書いてあったよ」