俺は咄嗟に逃げようとしたが――

 ガシッ

 ――足を掴まれた。

「んぎゃあー!!?」

『待っ……て……』

 か細い声がした。
 振り向くと、同じ年くらいの男が、

『ゔ〜……』

 バタッ

 倒れた……?

「……っておいッッ!?!?」

 死んだ!?

 俺は男の体を必死に揺する。

 あ、息してる……。
 ――そうじゃなくてッ!!!
 とりあえず保健室か!?

 目の前に倒れている男を放っておく事も出来なかったので、俺は男を保健室まで運んだ。



『あらっ! その子ど〜したのぉ!?』

「はぁはぁ……」

 結構疲れた……。
 どうしたのって俺が聞きたいくらいだ。
 とりあえず保健室のベッドに男を寝かせた。

『あらっ! この子熱あるんじゃない!?』

 保健の先生が慌てて体温計を出し、男の脇に挟んだ。

『あらっ! とりあえずそこの貴方も休みましょうか?』

 息を切らした俺を見て先生が言った。

「はぁ」

 この先生、テンション高くないか?

『あらっ!!』

 先生が男の脇から体温計を取り出して叫んだ。

 って言うか、さっきから『あら』ばっかりだな……。