次の日。 「渋座」 事務所の一室でギターをポロポロと弾いている成田のところへ高原が来た。 「何か用か?」 成田は手を止めることも、高原の方を見ることもなく、穏やかな声で尋ねた。 「あ、いや。暇だからさ。明後日だな、オーストラリア」 「そうだな」 「…詞、あがってこねーな」 「ああ」 「間に合うかな。明後日までに」 「さぁな」 「心配じゃねーのか?」