でも、竜司くんはなかなか手を握らない。 「いいよ。今手汗すげぇし」 「別にいいってそんくらい」 無理やり手を取って握ってみる。 なんだ。言うほどベトベトしてないじゃないか。 「こういう時は人肌に触れると良いって母さんが言ってた。少しは落ち着いた?」 「た、多少は?」 「なんで疑問形なんだよ」 それでも少しは落ちつけたのか、先ほどよりかは声に震えがない。 とりあえず心のケアはOKかな? 後は救助が来るまで、気を紛らわせていれば大丈夫。 「竜司くんって、手大きいね」