でもやっぱり、親は反対する。


最初は地元の専門学校にしようかと考えていたが、次第に家に居づらくなり、地元から逃げ出し一人暮らしを開始した。


俺は人より社交性はあると自負している。


じゃなきゃ接客業である美容師なんて勤まらない。


自分よりも年下の同級生達とも、妙な壁を作ることなく仲良くやってきた。


学費を稼ぎながら勉強するのは大変だったが、自分で選んだ道だから後悔はしていない。


なんとか無事卒業をすることが出来た俺は、都会から少し離れたベッドタウンにひっそりと佇み美容室の門を叩いた。


門なんてなかったら、入口の扉を叩こうとしたら自動ドアだったけど。


小さな美容室ではあったが、そこの店長さんは知る人ぞ知る有名カリスマ美容師で、マスコミ等の取材は一切NG。


宣伝も一切しないという変わった人なのだが、その腕はかなりのもので数多くの有名人がお忍びでこの店に来店している。


そんなお店が俺みたいなペーペーを雇ってはくれないだろうと半ば諦めてはいたが、もしかしたらという事もあるので玉砕覚悟でアタックしてみた。