「……すみません」


「私に謝ってどうするのよ! さっさと追いかけなさい!」


「あ……でもどこに行ったのか……」


その時、後ろから「ワンッ」と珍しくスピカが吠えた。


俺の顔をじっと見上げて、力強く尻尾を左右に振っている。


もしかして……。


「スピカ、千秋の居場所わかるのか?」


「ワンッ!」


頼もしい鳴き声に、犬嫌いだということを忘れてスピカの頭を撫でていた。


賢すぎるだろこの犬は。ほんと何者だお前。


「事情はわかんないけどさっさと行きなさい!」


「は、はいっ!」