「嗚呼、ゴウの才能を発掘したのがよっちゃんなのよ。編集部に直接原稿売り込んで行って、その時担当したのがよっちゃんってわけ。
その場でよっちゃんの鬼修正が入って、書き直したのを編集部にあげたらそのままデビュー。
ゴウにとってはデビューのきっかけになった人だから、よっちゃんの意見には素直に従うんだけど、本人がフリーダムな性格だから気苦労が絶えないみたいね」


「あんたの幼馴染だろ。なんとかしてやれよ」


「無理ね。大概私も自由人だから」


なんでこの店には変人しかいないのだと竜司くんは嘆く。


確かにゴウさんもマミさんも、比較的自由な人かもしれない。


何者にも何事にも縛られず、自由気ままにその日その日を楽しんでいるタイプだ。


羨ましいな。特にゴウさんは好きことを仕事に出来て、しかも好きなようにすることが出来る。


はっちゃけ過ぎても、ちゃんと叱って正しい方向へ導いてくれる人もいる。


ゴウさんにしか分からない苦悩もあるだろうけど、それでも仕事や人に恵まれて、世間一般的には幸せな日々を過ごしているはずだ。


……俺はどうなんだろう。