でも俺は、あの場から逃げ出した。


あの場の雰囲気が尋常じゃないほど重かったし、冗談だとわかっていてもやっぱり気まずかったら逃げたのだけど。


それ以上に恥ずかしかったのだ。


嬉しくて嬉しくて、恥ずかしかったんだ。


胸の奥が疼いて、一気に体温が頭に昇って、口元が緩みそうになってしまって。


だから逃げた。こんな状態の俺を竜司くんに知られたくなかったら逃げた。


やっぱ不意打ちはダメだ。


覚悟を決めて接していれば自分を抑えることが出来るけど、なんの準備をしてないで爆弾を落とされたら、動揺するに決まってる。


……俺は竜司くんのことが好きだ。


理由なんてわからない。直感的な、世間一般でいう“一目惚れ”というものなのかも知れない。


口では上手く説明出来ないけれど、竜司くんが好きなんだ。