『杏先生、このお話楽しんで描けましたか?』
「はい?」
プロットを練ってからネームを描きあげて、編集部にファックスしたら小林さんから電話がきた。
今回はたくさんリサーチしたし、自信はあったのに……
「楽しくはないですね。私の描きたいものじゃないですから。でも小林さんのアドバイス通り、キュンポイントやキスシーンは入れましたよ」
『確かに入ってるけどさ、運転する仕草とか頭を撫でられたりって斬新じゃないよね?』
ざ、斬新?確かにネットで調べたものだ。共感されても、他の漫画にもう使われている可能性はおおいにある。
『キスシーンまでの流れも不自然。杏先生の実体験でいいから、今度はリアルさを追及してネームを描き直して下さい』