その時である。

ザッザッ…。

砂利の足音が聞こえてきたのは。


思わずタケルは牛舎の外へ飛び出す。


そこにいたのは、

紺の作業服を着たタケルと色違いの、白い作業服を着た、あかり、だった。



たちまちタケルは嬉しくなる。

しかし、その感情を表に出したくないと

「お、おう!!来ないかと思った!!」

と声を掛けた。


あかりは

「ばあちゃんが…行きなさいって、3時半に起こすから…」

と答えたけど。


タケルは

(ばあちゃん有難う!!)
と、また、嬉しくなった。


「取り敢えず今から牛達の乳取るから手伝って。」

と、感情を噛み殺しながら、手伝いを乞う。


都会育ちのあかりは

「う、うん…」

と想像の付かない作業に不安げな様子だったけど。


(うっしゃ!!今日も1日頑張れそうだ!!)


タケルはうきうきした気持ちになった。