「差し支えなかったら…、教えてくれない?松浦がああなった理由?」 浩二が去った後に、福永は尋ねた。 福永の問いには答えずに、汐莉は暫く浩二の後ろ姿を追いかけて沈黙していたが…。 「なんの事?」 と、聞き返したのだった。 「いきなり惚(とぼ)けるなよ。さっき言ったじゃん。『気付いていないんだ。』って。」