Rose of blood

女の涙が俺の頬に零れ落ちる。


俺は女の頬に触れ、涙を拭った。



『もう……泣くな』

「ならッッ生き、てよ……」



相変わらず好き勝手言ってくれる。


女の声を聞くだけで心が落ち着く。



『俺なん……かの為に、涙を、流ッッすな……ローズ』

「い、ま……名前……」



ただ恐れていただけかもしれない。


この女に対する想いを自覚してしまうことを。


この女の名前を呼んでしまえば、自分が自分ではなくなってしまうような気がしたから。


もう……体の感覚がない……力も入らない……。


お前を困らせるかもしれない、それでも伝えたい事があるんだ。


許されるだろうか……俺がこんな感情を持ってしまった事……。