Rose of blood

近くから大きな力を感じ、力が強いところへ辿り着くとそこは自室だった。


部屋の中からはレイドとあの女の気配を感じた。


逃がしたはずのあの女の気配が何故……。


気付かれないよう部屋の中を覗くと、レイドは振り上げた手に力を込め、今にも女を殺そうとしていた。


女がレイドに背を向け、レイドが腕を振り下げた瞬間、俺は咄嗟にレイドの心臓目掛けて腰に挿していた剣を投げつけた。


そして、気付けば女を抱きしめていた。


攻撃を受け、すぐに俺は助からないと思った。


だが、死の恐怖よりも女が無事で良かったという安心の方が大きかった。


膝枕をしてもらったのは初めてだ。


忘れた筈のこの心地よい感じ……落ち着く。


女は涙を流し、必死に俺を助けようと考えている様だ。


お前はいつも誰かの為に一生懸命なんだな。


死が近づいているというのに、心は不思議と穏やかだった。