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屋敷に入ったはいいが、煙のせいで目がまともに開けられない。


目には涙が溜まり、おまけに酸素も薄くて息苦しい。


長居は出来ない。


私はカインの部屋へ急いで向かった。


カインの部屋の扉は開いていた。


中に入ると机のところに気配を感じ、私は目を凝らし気配のする場所を見つめた。


カイン……ではなさそう。



『これは驚いた。姿が見えなかったから、もう逃げているか誰かに殺されたとばかり思っていた』



この声……。



「……レイド」

『これはこれは、ローズ姫に名前を覚えてもらえているとは光栄だ』



皮肉たっぷりのレイドの言葉など今はどうでもよく感じた。