Rose of blood

もう夜も更け、小窓からは月明かりが綺麗に差し込んでいる。


今日は満月。



「そろそろ寝る準備をしましょうか」

「うん」



椅子から立ち上がった時、勢いよくドアが開き激しく心臓が跳び跳ねた。


私たちは驚き一斉にドアに目を向けた。


ドアに立っている人物を見て更に驚き、アイシャは体を強張らせていた。



「カインッッ!?」

『直ぐにここを出る準備をしろ』

「どういこと!?」

『つべこべ言うな。俺に従う契約だろう』



私はカインに言われたとおり、クローゼットから上着を取り出しそれをドレスの上から羽織った。


カインに恐怖を抱いているアイシャは身を強張らせ未だ動けないでいる。


私はアイシャの分の上着も取り出し、アイシャに急いで着せた。