Rose of blood

お昼の食器を片付けに行った時も、夜ご飯をカインの部屋に持って行った時も、やっぱりカインの姿は見当たらなかった。


ただ、ホットチョコレートを綺麗に飲み干してくれていた。


マグカップの中を見た瞬間、嬉しくて一人で笑ってしまった。


カインは本当に不器用な人なんだなって思った。



「今日の食堂は閑散としてるのね」

『そうなんですよ。この時間帯はいつも混んでるから変な感じですね』



ザックの言うとおり、夕食時にはいつも賑わっているはずの食堂は、いつもの半分程度しか人が座っていなかった。


カインも今日はあまり部屋にいないようだし、仕事か何かでみんな出払ってるのかな。



『今日もあの嬢ちゃんと晩飯食うのか?』

「ジオラさん。はい、そうですよ」

『今日はあの嬢ちゃんとずっと一緒にいろ』

「……どうしてですか?」



私が不安そうな顔をしていると、私の頭に手を置き笑顔でクシャクシャっと撫でるジオラさん。