Rose of blood

カインへ

ホットチョコレートを作ったから、良かったら飲んでね。
それと、あの時の事私は気にしていないから、今まで通り普通に接してくれると嬉しいわ。

ローズより



『気にしていない、か……』



あれからずっとあの時の事を意識していたのは俺だけ。


あの女にとってはただの事故と同じというわけか。


その方が俺もいいと思っていたのに、何故か心臓が締め付けられるような苦しさに襲われた。


手紙を暫くの間眺め、綺麗に折り畳んだ。


そして胸ポケットに入れた。


何故か捨てられなかった。


ホットチョコレートを飲むと、あいつの温もりが伝わってくるようだった。


この時俺は部屋を空けてしまったことを後悔した。