部屋に戻ると食事が置かれていた。


ほのかにあの女の匂いも残っている。


俺は今自分の中のよく分からない霧がかった感情に押し潰されそうで堪らない。


あの女を見るとその霧がかった感情は恐ろしい程に膨れ上がる。


それが嫌でわざと部屋を空けてしまった。


まるで子供の様な行いだ……。


テーブルの上に置かれたマグカップの下に紙が挟まれていた。


俺は手に取り紙に目をやり戸惑った。



『……手紙』



まさかあの女が手紙を残していくとは思っていなかった。


仕事の以来以外でこうして手紙をもらうのは初めてかもしれない。