「入るよ」



…………。


ここのドアをノックして声を掛けても一度も返事が返ってきたためしがない。


それでも私は遠慮なしに部屋に入っている。



「ご飯食べよう」

「…………」



虚ろな目でベッドに横になっている彼女、アイシャの体を支え椅子に座らせる。


体に力の入っていないアイシャを椅子に座らせるのは毎度の事ながら大変だ。


アイシャはまだ一言も言葉を交わしてくれた事がない為、名前はあの男に聞いた。


アルファナさんがそう呼んでいたと……。


私は出来るだけアイシャと一緒に食事をするようにしている。


まだ食事をまともに口にしてくれたことはないけれど……。