『自分から望んで帰ったのか?』

『うん……父様が言うにはだけど。瑠花はウェルヴィアの幸せを願ったって……』



自分の幸せよりもこの国の幸せを選んだのか……。


自分の国ではないのに。


瑠花らしい……。


あの子は一人でどれだけ苦しんでいたんだろうか……。


俺たちはあの笑顔に安心して、瑠花の心の奥を見てあげられなかった。


あの屈託のない優しい笑顔の裏側を。


二度も大切な人を失ったシエル。


もう、今までのシエルには戻らないかもしれない……。