『彼岸と此岸の狭間に身をゆだねその存在意義を見い出せばおのずと道は開かれん』                      
「これがそうなの?……意味が分からないわね」                          
眉間に皺を寄せて考え込んでいた時、香澄の携帯にメールが届く。                               
「あら、もう12時。そろそろ帰ろうか!?」               
「そうだな」                  
「私も出来るかぎり調べておくから」                   
「うん、頼むよ」                                                                                                                            




「気持ちの良い夜ね!?星も綺麗だし…」                             
月は半月。

この辺りでは都会の中心部に比べればまだ星は十分見えた。                     
「香澄、お前、将来の事とか考えている!?」               
「全然…でも、うちの事業は継ぐ事になると思う」             
「お前も大変だな!」              
「まあ、仕方ないわ。兄さんが生きていれば私も違った道を進めたかと思うけど、これも運命というやつで…」             
「お兄さんは…!?」              
「死産だったみたい…そう言う葵は?」                  
「俺は全くの未定。大学にでも行ってから考えようかと…」

「当然文系だよね、葵、血が苦手だから…」                  
「うん。血を見ると何故か目の前に『真っ赤な海』が見え出して体が動かなくなってしまう」