まじまじと見るとどことなく香澄にも似ている気がする。                      
「綺麗であろう。村でも評判の器量良でありました」            
「はあ…!?」                 
「兄上ったら…葵様、申し訳ございませぬ」                
「いや、でも、山中殿の仰る通り綺麗だと思います」             
雪之は項(うなじ)まで真っ赤にして水桶を持って外に出て行った。                                                     
山中の側には3人の幼子がべったりとひっついている。                       
「さあ、挨拶しなさい」             
「今晩は。よくぞいらっしゃっいました」「こんばん…」「……」

「ははははっ、失礼つかまつった……これが長女の『燐(りん)』、そして次女の『加奈(かな)』、最後が三女の『珠美(たまみ)』で御座る」                  
「今晩は。燐ちゃんは幾つかな?…6歳。加奈ちゃんは?…4歳」

「珠美は3歳で御座る」             
「みな可愛いらしいお子達ですね!?」                  
「拙者の宝で御座る!!」                          
葵は懐から財布を出して銘々に1分ずつ与える。              
「何をなさる、葵殿!!」            
「本来ならお菓子などの方が良いのでしょうが、突然の訪問だったので…」                 
「かたじけない…」               
「いつも山中殿に世話になっていることを考えれば大したことありません」                                                                 
雪之が外から戻る。               
「雪之、酒はなかったか?」

「少しだけなら…」