「あっ、そうだ!江戸中期って何年ぐらい?」               
「江戸中期か!?詳しくは分からないけど1700年辺りじゃないかな!?調べるか?」                    
「いやいい。自分で調べるよ」                                  
外の雨は一向に止む気配を見せなかった。ただ雷の鳴る間隔は次第に長くなり、音も遠ざかりつつあった。                                                                                                                        
夜はかなり冷え込み囲炉裏に火がいれられてあった。

「ご馳走様!お祖母ちゃん、美味しかったよ!」              
「そう!?お茶でも飲む?」

「うん…美優、午後8時には出るぞ!」                  
「分かった、後1時間ね」                        
つい少し前に雨は上がり、雨が上がると静かなもので、時折、風の騒めきと夜鳥の鳴き声が聞こえる程度だった。                        


「ありがとう」                 
祖母の煎れてくれたお茶を飲む。                     
「お祖母ちゃん、ちょっと教えて欲しい事があるんだ」

「何?」                    
葵はシャツの胸ポケットから紙切れ一枚を取り出す。                                    
「『彼岸と此岸の狭間に……』。漢語文ね!?これだけ?前後はないの?」              
「うん…」                   



「そうねぇ、そのままの意味なら、『この世とあの世の間で、何故、自分がそこにいるのかという事が分かれば答えは見つかるよ』という事かしら…」                
「どんな意味?」                
「これだけじゃねぇ…前後に文があれば推測も出来るけど…」