〔2〕
『骨董 長谷部』を訪れるのは4日ぶりである。自宅にカバンを放り投げ愛車に跨がる。
まだ午後4時を過ぎた頃だから日差しは明るかった。
道々何人かの人とも擦れ違ってもいた。
(今日はよく人と会うよなあ…みんな黒い服を着ているし…)
その時点ではまだ気にしなかったが、目的地が近づくにつれて『不安』が胸を過(よぎ)る。
(黒い服…!?まさかとは思うけど…)
その不安は目的地に到着して現実の物となる。
(えっ、花輪じゃん!!)
長谷部家の前に多くの花輪が立て掛けられてあった。
(おじさんのかな…?)
自転車を近くに止めて家の様子を眺める事にする。
多数の弔問客が家の中に出たり入ったりしている。
葵は事実を確かめたくなって自転車を道路添いに置いて家の前まで来ると、丁度1人の老人が家の中から出て来るところであった。
「あのお〜っ、すみません、どなたがお亡くなりになったのですか?」
突然の呼び掛けに幾分驚く。
「あ〜っ、この家の主人の『長谷部徳蔵(とくぞう)』さんがね…」
「えっ、だって、俺、じゃない、僕、4日前に会いましたよ」
「何でも心臓の持病があったそうで、2日前に突然。心臓麻痺だって…」
「……そうだったんですか!?…どうもありがとうございました」
言葉を失った葵は礼の言葉を言うのがやっとだった。
『骨董 長谷部』を訪れるのは4日ぶりである。自宅にカバンを放り投げ愛車に跨がる。
まだ午後4時を過ぎた頃だから日差しは明るかった。
道々何人かの人とも擦れ違ってもいた。
(今日はよく人と会うよなあ…みんな黒い服を着ているし…)
その時点ではまだ気にしなかったが、目的地が近づくにつれて『不安』が胸を過(よぎ)る。
(黒い服…!?まさかとは思うけど…)
その不安は目的地に到着して現実の物となる。
(えっ、花輪じゃん!!)
長谷部家の前に多くの花輪が立て掛けられてあった。
(おじさんのかな…?)
自転車を近くに止めて家の様子を眺める事にする。
多数の弔問客が家の中に出たり入ったりしている。
葵は事実を確かめたくなって自転車を道路添いに置いて家の前まで来ると、丁度1人の老人が家の中から出て来るところであった。
「あのお〜っ、すみません、どなたがお亡くなりになったのですか?」
突然の呼び掛けに幾分驚く。
「あ〜っ、この家の主人の『長谷部徳蔵(とくぞう)』さんがね…」
「えっ、だって、俺、じゃない、僕、4日前に会いましたよ」
「何でも心臓の持病があったそうで、2日前に突然。心臓麻痺だって…」
「……そうだったんですか!?…どうもありがとうございました」
言葉を失った葵は礼の言葉を言うのがやっとだった。
