彼岸と此岸の狭間にて

「ここの石段って結構きついんだよなあ〜っ!」              
登る前から弱音を吐いている赤沢。                    
「何段あるんだっけ?」             
「104段!」                 
「幅が狭い上に雪で滑りやすいときてやがる。帰ろうか?」

「ここまで来て何を言っている!それに誘ったのはお前だぞ!」

「へいへい…」                             
見上げる先に神社の姿はない。階段を登り切った先にあるのだ。                                                                                                       



「もうダメ、死にそう!」            
「もう少しだ、赤沢、頑張れ!!」                    
登山に例えれば8合目。そう言う葵も俗に言う『ケツ割れ』状態で足の、特に太股の筋肉が乳酸の貯蓄で固まり始めていた。                                                                                        
やっとの思いで階段を登り切る。                     
「年々、きつくなるよな」            
赤沢は両膝に両手を置き『ゼイゼイ』言っている。葵は立ったままで呼吸の乱れを整えていたが、当分、動く気にはなれなかった。                                                             


「結構、人が出てるぞ、赤沢!」                     
息の整いつつある赤沢が顔を上げる。                   
「あれっ、ホントだ!」                                     
境内にはたくさんの人が溢れ、賽銭箱の前は長蛇の列状態だった。