彼岸と此岸の狭間にて

「その永野が何だって?」            
「去年の12月24日のクリスマスイブの日、夕方、銀座を彼女と歩いていたら『バッタリ』香澄と会ったんだって…」                  
(葵には既に展開が見えていた)                     
「別に狭い日本、どこで会ったって不思議じゃないと思うけど…」

「へへへっ、それじゃ、話の展開として楽しくないだろう!?」                   
(しょうがない。赤沢も暇なんだろう、付き合ってやるか!?)                   
「お母さんと買い物でもしてたのか?」

「『ブッブー』!はずれ〜っ!」

「まさか、男と一緒?」             
「『ピンポンピンポン』!大〜当たり〜っ!」               
「彼氏じゃないだろう?」            
「『ブッブー』!彼氏だと思われます」

「なぜ分かる?」

「腕を組んで寄り添うように歩いていたからで〜す」            

『ドキッ!』                  
心臓が大きく一つ脈打った。                       
予想外の展開になった。葵は当初、あの家庭教師を予想していたからだ。               
「相手はどんな奴?」              
「おっ、葵君、まさかの反撃開始!…相手は…実は俺も詳しく知らない。ただ、葵ぐらいの身長で結構良い男だったらしい!?」              
(やはりあの家庭教師なんだろうか?…それとも…)            
「どう、ショック!?」             
「まあ、一応はな!でも、香澄も年頃だから彼氏がいたって…」

「そうかあ!?もしかしたらもう抱かれているかも知れないんだぞ!」                  

この『抱かれている』という言葉は本当に『ショック』だった。香澄の乱れた姿態が脳裏を掠(かす)めていく。