「裟癒ちゃん、呼んでるよ?」







授業の合間の休み時間。

まだ名前を覚えてないんだけど、クラスの子が私にそう告げた。

その子の指差す先には、お馴染のアレが。







「裟癒ー、話しに来たよっ」







ハイ、そうです。香音です。

いい加減にしてくれませんかと、突っ込みを入れたくなるほどに飽き飽きしているんだけど。

さすがに放っておくと同じクラスになった子に「この人冷たいんだ」とか思われちゃいそうだし、それは嫌だから仕方なく香音のほうへ足を進める。







『用件をどうぞ』

「留守番電話じゃないよね、裟癒?!」

「香音、うるさい。耳元で叫ぶな」

『…魅亜、香音についてくるなんて珍しいね』







綾崎魅亜(アヤサキ ミア)。

彼女もまた、香音と同じように小学校からの仲で、脅しを得意分野とする。

まぁ…悪いことをしなければ脅されることもないし、扱いに慣れればどうってことないんだけど。曲者って言えば曲者かな。