結構傷ついたりするんですけど…。

というひなの言葉を遮り、一年生の女の子達がキャーッと渡辺に群がって来た。


「渡辺先輩っ!渡辺先輩の分析のおかげで、昨日の春高との試合勝っちゃいました!」

「もう絶対無理だと思ってたのに、本当に先輩のおかげです!」

「先輩いいかげんバレー部専属になって下さいよー!他の部にふらふらしてたら私達妬いちゃいますぅ!」


「あ、スイマセン、もしかして邪魔しちゃいました…?」

そういって黄色い声の真ん中の子が、可愛い目をウルウルさせながらひなをチラリと見据える。

ひなはギクリと嫌な汗をかいた。

…こういうのは苦手なのだ。

その子の声で周りの子達も一斉にひなを見つめる。



…まるで値踏みされている気分。

なんて居心地が悪いんだとひなは内心ため息をついた。

「えっと、それでは私は剣道部に…」

くるりときびすを返して一歩踏み出すひなの首根っこをすかさず渡辺が引っ張る。

「ひな、今日は部活ないだろう?紹介するよ。二年の鈴鹿ひな。俺の彼女。」

一瞬の沈黙の後、廊下に響き渡るエーーッ!の声にひなは失神しそうになった。