傷つき、苦しんだことを
偽物の笑顔で
隠そうとしてるんだ……。



「―――って、事で。
俺は帰るね。
もう俺には関わんないで、幸音」



それだけ言うと
雪原はあたしに背を向けて
歩き出した。



なんで……
こういう時に“幸音”って
呼ぶのよ……!



「雪原っ」



「……!!」



あたしは再び追いかけて
雪原を後ろから抱き締めた。



「…なに?
諦めたんじゃないの?」



「諦めない…っ」



雪原?

あたし思うんだ。


最後にあたしを“幸音”って
呼んだのは…………