火をおこし、腰を掛けて夜食の用意を始めた。

 森に入ったときからまとわりつく視線に眉を寄せる。

 これは、例の忠告をしてきた影のものだ。

 何が目的なのか、それを知りたい。

 残りの干物をげんなりと見やり、数枚を焼いていく。

 そうして焼けた干物を細かくちぎり、火に掛けていた鍋に投入する。

 街で手に入れた香辛料を加え、そこらで摘んだ野草も入れて軽くかき混ぜた。

 月のない夜には満天の星を仰ぎ見ることが出来る。

 しかし、森に入れば美しい瞬きを目にすることはなく、シレアはやや残念そうに溜息を漏らす。

 たき火の炎が時折、小さく弾けて木々の姿をゆらゆらと黒く作り出していた。