それほど大きくなくていい、食べ切れそうな魚を探す。

 そんなシレアの背後に、よからぬ気配が漂う。

 慌てずに振り返ると、そこには巨大な魚がじっとシレアを見つめていた。

 シレアの背丈ほどもあるだろうか、銀色の鱗に赤い目をギョロつかせている。

 こいつはいくらなんでも大きすぎる。

 魚側にしたって、シレアは諦めてもいい大きさだろうに何故、そんなにも見ているのか。

 巨大魚は慎重にシレアを見定めて、ゆっくりと口を大きく広げていく。

 びっしりと並んだ尖った歯は、フィッシュイーターならではのものだ。

 シレアは噛みつく瞬間に身をかわし、短剣を魚の眉間に突き立てた。

 瞬間、魚は驚いて激しく抵抗する。

 さすがにこれだけの大きさだと息絶えるのには時間がかかる。