そうなったらいいなという、ただの俺の願望だったんだ。

 大したものじゃないから、気にするな。

「よし!」

 吹っ切れたマノサクスは剣を収め、弓矢を手にして空に舞う。

 攻撃性だけで向かってくるモンスターを相手に、詠唱に時間を要する魔法使い(ウィザード)を戦士が囲むように自然と陣形が組まれていた。

 それでも、敵の数はまだまだ多く明らかにこちらが劣勢だ。

 慈悲のない攻撃に、次々と倒れてゆく友軍にアレサは苦い表情を浮かべた。

 その視界にチラリと見知った姿が映り、思わずそちらに顔を向ける。

 優美で流れるような攻撃を繰り出している影は、紛れもなくエルフ──

「まさか」

 あれだけ人間と関わる事に抵抗を示していたエルフたちが共に戦っている。

 眼前の光景に、アレサは信じられず立ちつくした。