「もしかすると、上空の気流が全体的に強くなっているのかも」

 何十年かに一度は変な気流があるのだとマノサクスは説明した。

 ほとんどを風任せにしているウェサシスカは、何百年も前から天候の記録を丁寧に記している。

「シレアは気付いておったのか」

 ユラウスの問いかけに、シレアは怪訝な表情を浮かべた。

「知っているのかと」

「なんじゃとう!?」

 集落では住人たちが各々、そんなことを話し合っていた。

 当然、シレアはそれをユラウスたちも聞いているのだと思っていたため、あえて口にはしていなかった。

「なんたる不覚じゃ」

 エルドシータの中にいるというのに、こうも気がつかないものなのかと自分に呆れてしまう。

 彼らは息をするように、常日頃から自然について話している。

 そのせいか日常の会話と勘違いしていた。