──シレアたちのいる集落より遙か北東に位置する王都ルフィルムーアから、やや北にある町ウェファサ。

 ここは王都へのいち中継地ともなっており、落ち着いたのどかな町で旅人が多く滞在する。

 そんな町の住民、王都に向かっていた者、王都からどこかに向かうために旅の準備をしていた者たちは、突然のモンスター襲来に戸惑いながらも反撃を続けていた。

「なんだこよいつら!?」

 男は叫びながらも、次々と溢れるようになだれ込むコボルドどもを大きな戦斧(せんぷ)でなぎ倒していく。

 いくら放浪者(アウトロー)が立ち寄る町とはいえ、休む暇もなく波のように押し寄せるモンスターに疲れも貯まりうんざりしてきた。

「エンドルフ!」

 肩までの栗色の髪を後ろでまとめた男は、両手剣を振るいながら戦斧を振り回す男の名を呼び、息を切らせて歩み寄った。