寝床に戻ったシレアは、天井を見つめて未だどことからとも知れない視線を感じていた。

 それはまるで、

「思い出せ」とでも言っているようにも思われ、どうにももどかしく苛立ちは増すばかりだ。

 何を呼び覚まそうとしているのか、どうしてそこまで執着しているのか。

 解らない事ばかりで、シレアは眉間にしわを刻む。

「見えない相手と走りあいをしているようだ」

 つぶやいて、瞼(まぶた)を降ろした。