「いくらイヴィルが御しやすいとはいえ、多ければそれだけの力が必要じゃからな」

 世界を掌握するための戦力を、上手く使えなければ意味がない。

「その中で、より強きリーダー格を支配出来れば、あとは鈴なりでしょう」

「そんなもんなの?」

「邪悪という存在は得てして単純なことが多い」

「そうね、確かにあいつらはバカよ」

「そうなの?」

 小首をかしげるヤオーツェにマノサクスは、

「強い者には従う。それがあいつらだし、絶望とか希望とか、そういうのが無いから支配はしやすいんじゃないかな」

「ふうん」

「その代わり、すぐ裏切るのが奴らでもある」

「互いに干渉しない生き方すら奴らは認めず、他者を滅することにのみ思考を働かせている」

「根本的に共存や棲み分けが出来ないって難よね。熊や狼だって出来るのに」

[話が若干、逸れてきているように思うのだが]

 眉を寄せたヴァラオムに一同は肩をすくめた。