あたしは人間じゃないから、どんなにあがいても強い戦士にはなれない。

 けど、シーフならきっとなれる。そう思ってレキナが止めるのを聞かずに村を出た。

 初めて歩いた外の世界は魅力的で、残酷だった。

 そんな世界を旅している放浪者(アウトロー)に、あたしはますます憧れた。

 師匠から一人前のお墨付きをもらって村には戻ってきたけど、すぐに旅に出る予定でいる。

 だって。ここは、あたしのいる場所じゃないから──

「何か兆候はないかね」

 ユラウスの問いかけに、レキナが記憶を辿る。

「最近になって、危険なモンスターが集落の周辺をうろつくようになりました」

「そうなの?」

 眉を寄せたモルシャにレキナが頷く。

 危険とは言っても肉食動物に毛が生えた程度の危険度なのだが、コルコル族にとっては大きな驚異だ。