「失礼ね! 私は立派な大人よ!」

 古の民の言葉にムッとして立ち上がり、その女性は親指を自身に向ける。

「そうであったか、これはすまぬ。コルコル族は年齢が解らぬで」

「その大人が盗み聞きか?」

 シレアに言い放たれてうぐっと言葉を詰まらせた。

 しかし──

「あなたってキレイね。人間よね?」

 嬉しそうに顔を近づける。

 コルコル族もドラゴンと同様に、美意識は人と似ているらしい。

「して、おぬしは?」


「あたしはモルシャ。かの有名なカサーラ・セルアの一番弟子なんだから!」

 ユラウスが尋ねると彼女は誇らしげに胸を張り、自己紹介よろしく声を上げる。

「カサーラ・セルアと言えば、名の知れた女盗賊ではないか」

「そうよ。孤高のシーフ、カサーラの弟子にしてトレジャーハンターモルシャとはあたしのこと!」

 確かに、隠された財宝や秘宝を単独で得るにはシーフの能力は必要不可欠ではあるが、コルコル族にもそのような者がいたとは驚きだ。