「あんた、辺境に住んでる?」

「エナスケアの西にある集落で育った」

 おかしな事を訊くものだと眉を寄せる。

「で、今は旅をしていると」

「何が言いたい」

 先ほどから図々しくも会話を続ける有翼人に怪訝な表情を浮かべる。

 間近でリャシュカ族を長々と眺められる機会ではあるがしかし、彼の意図がわからない。

「オレ、魔導師に友達がいてさ。そいつが変なこと言ったんだ」

「ほう」

「ここに来た人間の運命と、強く結ばれるって」

 ユラウスよりも早く仲間を特定していた者がいたとは驚きだ。

 しかし、それをすぐに信じる事も出来ない。

「その魔導師は」

「それだけ言って死んじゃった」

「そうか」

「ずっと病気で伏せってたんだけどさ」

 元々病弱だった魔導師はまだ若く、その能力を買われてウェサシスカに招待されたものの、ほとんどを病床で過ごしていた。