元々は古の民がいたとも言われている。

 そのため、モノリスがどのような構造で、どのように要石と共鳴しウェサシスカを浮遊させているのか、今となっては誰一人として知る由(よし)もない。

「こちらへ」

「どこに行くんじゃ?」

「もちろん、あそこに」

 セルナクスが示した先は、大陸の中央にそびえる城──ウェサシスカの中心を担う、評議会が行われる場所だ。

「遠いね」

「もちろん馬車で行く」

 城までの通りは広く、赤い石畳が敷かれている。

 いくつも枝分かれしている道には木製の標識が建てられ、様々な種族が行き交っていた。

 とはいえ、ほとんどがリャシュカ族とエルフだ。

 知識を得たい者はここで学ぶためにまず、評議会の長に許可をもらうため常に開かれている巨大な城の門をくぐる。

 学ぶための施設は城を取り囲むようにして建てられていて、誰でも自由に出入りが可能だ。