──夕食を済ませた一同は、たき火を囲い酒を酌み交わす。

 アレサとユラウスは、このドラゴンにいささか呆れ気味だった。

 気さくという以上に気さくで、これが本当にドラゴンなのかと思わせるほどお喋りだ。

[古の民ロデュウに会えるとは我は運がよい]

 シレアの持っていた酒瓶を大きな手に持ち、声高に発する。

 夜に三人で飲もうとワジャジャルで買った酒はほとんど彼に飲まれてしまった。

「あなたが智の竜を初めて見たとは意外です」

「智の竜は気むずかしいんじゃ」

 人間とはよく話をするくせに、ロデュウとはあまり接してくることはなかった。

[すまぬの。我らは人間にすこぶる興味を持っていたのだ]

 気がつけば古の民は姿を消していた。

 あまり話をしなかったことに今更ながら、残念で仕方が無い。

[おお、そうであった。そなたにこれを渡したく思い、探しておったのだ]

「うん?」

 ドラゴンは、頭の角にさげていたペンダントを爪でちょいとひっかけてシレアに差し出す。