上級であればあるほどその消耗は激しく、集中力も薄れてゆくため魔法の継続は難しくなる。

 魔法を使える者が多くいたならば、交代しつつ続けられただろう。

 だが、これだけの数ではさすがに無風帯(ドルドラム)を抜けるまでには至らない。

 案の定、しばらくしてウィザードたちは体力、精神力共に使い果たしたのか疲労により肩で息をしていた。

 むしろ、ここまで粘ってくれた事に驚く。

 彼らも一度は試してみたかったのかもしれない。

 シレアは各々に船室で休むようにと礼と共に告げ、この件(くだり)は終わった。

「いや~、魔法ってのはやっぱすげえな」

「スプーンやフォークのように扱えればな」

 苦言を呈するように応える。

 魔法は確かに便利だ。

 だけれども、そう易々(やすやす)と扱えるシロモノではない。