ばたばたばたっと慌ただしい足音がして、建物の扉が勢い良く開けられた。


「セシルっ」

飛び出してきたのは、美しい金髪の少女。

「まぁ、ミランダ」

セシリアは驚いたような声をあげた。

「セシルっ、あなた酷いわっ。さよならも言わずに行ってしまうんですもの。私はこんなに悲しいのに、あなたは私のことなんて、もうどうでも良いっていうのね?」

ミランダは憤慨したように、どこまでも澄んだ碧眼に涙を浮かべてまくし立てる。

「あぁミランダ。ごめんなさい。違うのよ。私だって、とっても悲しいわ」

セシリアは困ったように宥める。

「あなたに会ったら泣いてしまうんだもの。最後は笑ってお別れしたかったの」

そう言うセシリアの瞳もだんだんと揺らぎ。鼻をすすると、恥ずかしそうに顔を背けた。


「セシルっ」

限界まで涙を溜めたミランダが、がばっとセシリアに抱きついた。