涙。
大粒の涙が、床へ落ちた。
集中治療室があいて、
中から医師が出て来た。
「先生!!」
くらいつく憂。
藍も不安そうに見る。

「中へ…」
暗い声で先生は言う。
何かを感じた藍は、急いで
中へと入った。


「…ぁ…」

声も出なかった。
藍と奈央が目にしたのは、
絶望的な直の姿だった。

酸素ボンベを付け、大きな
画面には心拍数が映し出されている。

「直先輩…」
藍は直の横に席に座ると、
静かに手を握った。

奈央はただ見ている事しか
出来なかった。
思い出す、昔の出来事。

ー同じだ…
優花を失った時と…