「…ゆるさねぇ」
憎しみ、悲しみ、怒りがこもった
声で、憂はナジカを睨みつけた。
「殺す」
ナジカは不気味に笑うと、
憂に近付いた。
「下っ端が…いきがるなよ?」
ナジカは再び包丁を握り締め、
憂へと突進した。それでも構わず、
立ち向かう憂。
「やめろ!」
声が教室に響いた。
直の声だった。
「…せんぱい」
「まだ生きてたんだ?」
ナジカは少し笑うと、手をとめた。
「…こんな争いをして…何が楽しい?
喧嘩は…こんな冷徹なもんじゃねぇ…
誰かを殺してまでする喧嘩なんてねぇ」
辛そうに直は言った。
「お前、あたしの脇腹刺しただろ?」
ナジカは直を見て、はっとした顔をした。


