「直さん」
玲が礼儀正しく直に話しかける。
直は藍を見て、「座れ」と言った。
玲は藍を休ませる為に椅子へ
座った。直は奈央に近付いてきた。

「いやー、聞いたよ。藍まで
倒したんだって?お前強ぇんだな」
直は笑顔で奈央へと話しかける。

奈央は直を警戒していた。
それに気付いたのか、直はお茶を
出して飲め!と言い、缶を開けて
飲み始めた。

ー何だ、この人。
奈央にとっては変人としか
とらえられなかった。

「強くなんかない。あたしの
喧嘩は…意味が無いものです」
奈央は申し訳なさそうに言った。
玲は相変わらず藍の治療をしている。

「そうだろうな。まだ分からない
馬鹿ばっかだから、あたしの下は」
更に続ける直。

「だけど、知ってる奴がいるぜ?
お前のすぐ傍に、な」
にこりと笑いかける直。
その目線は、玲をさしていた。

「次で最後だと思え」
いきなり直の顔が強張った。